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深大寺 〈蔵〉プロジェクト

解体と深大寺移築

三度目の危機

2021年、〈蔵〉に再び存続の危機が迫りました。

隣接する敷地と一体的に再開発する計画が浮上したのです。

「ギャラリー・エフ」の建物は1949年に建てられた特殊金属販売会社「淵川金属事務所」の旧社屋。老朽化が進んでいました。

そこで、〈蔵〉とカフェのある土地を手放し、カフェ&バー「ギャラリー・エフ」は浅草の別の場所で再開することとなりました。

文化財であり貴重な建築である〈蔵〉。なんとかして移築先を探さなくてはなりません。

2021年秋、〈蔵〉に歴史的価値を見出し保護に努めた、台東区で文化財保護審議会委員を務める建築史家・稲葉和也さんが深大寺の張堂興昭住職と会った時に、〈蔵〉のことを話題にしました。

深大寺・本堂

張堂住職は「消滅危機にある古い建物を守りたい」という想いで、江戸期の建物を探していました。

江戸時代から生き延びた〈蔵〉の話を聞くと「戦災と震災をくぐり抜けた蔵を迎えることには意義がある」と、移築を引き受けることになり、2022年2月、正式に移築が決まりました。

解体と移築

解体清祓の様子

蔵の解体工事は、2022年3月、清祓から始まりました。

専門家の指導のもと丁寧に解体工事がすすめられました
一枚一枚屋根の瓦を下ろす様子

瓦を下ろし、外壁を外し、柱を外すなどの作業を経て、2ヶ月後の5月20日、解体作業が終了しました。

解体工事が終わり更地となった土蔵跡地

深大寺の計画では、現在、境内東側にある鉄筋コンクリート造りの建物を一部取り壊した跡地に〈蔵〉を移築する予定です。

その場所は奇しくも、〈蔵〉が建つ1年前、慶応3年に建てられた、茅葺きの旧庫裏の隣。

再建工事は約2年後に始まる見通しで、それまでは深大寺の境内などで部材を保管しています。

新しい場所で、〈蔵〉がどのような歴史を紡いでいくのでしょうか。

清水に恵まれ、清冽な水が流れる古刹・深大寺で、そのしたたかな土蔵があらたな出会いの場となってくれることを切に願っています。

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